2025年5月20日、政府の有識者会議で特定技能制度の受け入れ分野をさらに広げる方針が示されました。
新たに候補となったのは 「物流倉庫」「リネンサプライ」「資源循環」 の三つ。これにより、制度開始当初14だった対象分野は、今後19分野へと拡大する見込みです。
「物流倉庫のピッキング要員が足りない」
「ホテルのリネンサプライ工場は採用が追いつかない」
「リサイクル工場の夜勤が高齢化で回らない」
――そんな現場の悲鳴に対し、政府が打ち出したのが今回の追加案です。
しかし実務を担う企業側では、「そういえばニュースでチラッと見たけれど詳しくは…」という声も少なくありません。
本稿では、人事担当者・業界関係者の皆さま向けに 制度の基礎から追加三分野の背景、準備すべきポイント までを詳しく解説します。
EC市場は年20%前後で拡大。荷物量増大で倉庫オペレーションは常にフル稼働。
若年層の就業敬遠・高齢化で倉庫作業員の平均年齢は年々上昇。
ピッキング・仕分け・梱包など単純作業からフォークリフト運転まで幅広いニーズ。
外国人比率の高い現場も増えており、特定技能で長期雇用が可能になれば安定運用が見込める。
ホテル・旅館・病院などにシーツやタオルを供給する「陰の主役」。
有効求人倍率は3倍超。高温多湿・重量物作業で離職率が高い。
観光復活とインバウンド再拡大で需要は右肩上がり。
特定技能化により、工場ラインの熟練オペレーターを継続雇用しやすくなる。
廃棄物の中間処理やリサイクルを担う産業。
3Kイメージで若手が敬遠、地方施設ほど採用難が深刻。
SDGs・ESG投資の高まりで処理需要はむしろ増大。
安定稼働と技能継承のために外国人熟練人材の確保が急務。
時期 | 予定・ポイント |
---|---|
2025年春〜秋 | 有識者会議で分野別運用方針を詰める(業務範囲・試験設計など) |
2025年12月 | 基本方針を閣議決定(追加分野を正式化) |
2026年 | 試験問題公開・支援体制ガイドライン整備 |
2026年度中 | 早ければ各分野で採用スタート |
2027年以降 | 育成就労制度(技能実習の後継)と並行運用へ |
特定技能制度の受け入れ分野拡大は、
人手不足の現場を支える即戦力確保策であると同時に、
多様な人材と協働する新しい価値創造の機会でもあります。
「物流倉庫」「リネンサプライ」「資源循環」に携わる企業は、
いまのうちから制度要綱をキャッチアップし、
社内体制を整えた企業ほど先行者メリットを享受できます。
『特定技能制度の受け入れ分野が拡大したことを知っていますか?』
――その問いかけに「もちろん、準備は進んでいる」と胸を張って答えられるよう、今日から動き出しましょう。
自社が受け入れ要件を満たしているか確認
追加三分野それぞれの業務マッピング済み
人員計画を部署ごとに数値化
支援責任者・担当者を指名
生活支援メニューの具体化(住居・教育・相談窓口など)
社内マニュアルの多言語化方針決定
外部支援機関・通訳会社候補リストアップ
社員向け多文化共生研修スケジュール策定
キャリアパス・待遇テーブルの見直し
行政・業界団体のセミナー参加予定をカレンダー登録